塩沢織物工業協同組合
小千谷縮・越後上布の歴史は古く、千数百年にも及ぶといわれ、 奈良正倉院に越後の麻布との記録が残されています。
新潟県魚沼地方では、湿度の高い雪国の自然環境・風土が 麻織物の生産に適していたため、古来より農閑期の冬仕事として、受け継がれてきました。 朝廷や将軍家への献上品として贈られたとの記録もあり、 越後の麻布は高い評価を得ていました。
小千谷縮の創始者堀次郎将俊を祀る明石堂小千谷市極楽寺境内
江戸時代には幕府御用となり、天明から文化期の最盛期には 年間20万反もの生産高に及んだとの記録もあり、魚沼地方 の一大産業となっていました。
雪中に糸となし、雪中に織り、 雪水に洒ぎ、雪上にさらす。 雪ありて縮あり、されば越後縮は 雪と人と気力相半ばして名産の名あり、 魚沼郡の雪は縮の親といふべし
鈴木牧之『北越雪譜』より
松苧神社
明治時代以降は近代化とともに、工業化が進み、古来からの 形態で生産される製品はわずかの数量となってしまいました。 この貴重な技術を守り続けるために、小千谷と塩沢の両産地 によって技術保存協会が設立され、昭和30年5月12日に、 国の重要無形文化財総合指定第一号の指定を受ける事ができ ました。
織りの講習会
苧績み講習会
絣つくり講習会
技術保存協会では伝承者養成事業を、昭和42年より苧績み部門、昭和48年から織部門、さらに平成23年より絣部門を実施し、重要無形文化財の技術の伝承に努めております。
ユネスコ世界無形文化遺産登録を記念して建てられた碑
小千谷縮・越後上布の特徴は、その希少性と洗練された手作業 による技術を駆使して織り上げられていることです。通気性に 富み軽く、上布はさらりとした風合い、縮はシャリ感が魅力で、 蒸し暑い日本の夏に最適な最高級着尺地です。
平成21年9月30日には、ユネスコ(国際連合教育科学文化 機関)の無形文化遺産に登録されました。日本の染織技術としては第一号となります。